家族だけの葬儀「家族葬」

師走になると「年賀欠礼状」の喪中のお知らせが届きます。身内のみで葬儀を終えましたという内容がとても増えたように思います。実際に家族葬という形で、故人のごく親しい身内を中心にお見送りをするお葬式の「家族葬」ですが、いざという時のためにどのような形式なのでしょうか。家族葬なので家族だけに知らせればいいのかといえば、故人の親しい交友関係も含めての「家族葬」もあります。葬儀は突然のことでもあり、そして当たり前ですがやり直しをすることができないのが葬儀でもあります。

家族葬について

新聞の訃報欄をみると「近親者で密葬を行いました。日を改めてお別れの会をいたします。」のような文面が続いているケースがあります。密葬と家族葬は同じようなイメージがありますが、訃報欄には家族葬でという文面ではありません。なんでだろう?!と思ったら、家族葬と密葬はまったくの別ということがわかりました。

密葬の場合はごく近い近親者のみで、火葬までも含めた葬儀をします。そして後日、日にちを改めて「お別れ会」や「本葬」を行うので密葬はその後もなにかしらのセレモニーをします。家族葬と違うのは、そのところが大きく違っています。

家族葬にした理由

ニュースでも取り上げられているのが「終活」です。就活でもなければ婚活でもなく、終活が高齢者の間でごく当たり前のようになっているという話題が取り上げられています。

「終活」の中のひとつに、エンディングノートがあります。これから先の人生を歩む中で、誰もが迎える死について自分がどのような治療を希望しているのかとか、どんな葬儀にしてもらいたいのかの希望を書き止めておくノートがエンディングノートです。子供のほうから親に「どんな葬儀にしたいの?」と聞くのは、ためらいがあります。そしてもし意識がなくなったときは?といった話をすることがないほうが多いのではないでしょうか。

今は何事もなく過ごしているものの、やはりなんといっても人には突然何が起こるか予測できません。何事もなく過ごせている時にこそ、もし自分が病気になった時のことや、もし病気の進行状態で芳しくない状態になった時の延命装置のことなど事前にあらかじめエンディングノートを書いておくと、自分が望んでいないことをしないで欲しいという意思表示にもなります。

そして葬儀に関しての考え方も、エンディングノートに書き残しておくと「こういう葬儀を望んでいるんだ」と分かります。地方都市では親との同居している家庭がたくさんありますが、都市部になれば親は親で暮らし子供は子供で世帯を別にして暮らしているケースがたくさんあります。遠く離れたところに暮らしている親子がいる話も、決して珍しいケースではありません。

子供世帯のほうも子育て中の場合には、頻繁に様子を見に行くことも難しいので親の考えそのものも、よく知らないというのが本音のところではないでしょうか。親戚づきあいもあまりなく、誰に連絡をしていいのか知らない。というケースも多く見受けられます。

エンディングノートに近親者のみにして欲しい。わざわざ遠方の親戚まで来てもらう必要なし。といった文面がエンディングノートに書かれていたら、誰に知らせればいいのかという時にとても参考になります。

エンディングノートが特になく、どうしたものか?!と考えた時に子供の意向で家族葬にすることもあります。高齢の親が亡くなった時に、親世代の親戚もお亡くなりになっていたり高齢者施設などに入居されていることがあるからです。親も高齢者施設に入っていたため、施設で亡くなった場合には訃報を知らせる相手も少なくなっているからです。

子供世代に兄弟姉妹がいれば、もちろん駆けつけてきますが家族葬をする場合は、形式にとらわれずに葬儀を決めることができるという点も家族葬を選ぶ理由にあがります。誰がどこに座るといった席順に気を使う必要もないので、近い近親者だけでアルバムなどを見ながら故人をゆっくりと偲ぶことができます。故人が好きだったお花や音楽をかけることもできます。

ごく一般的な葬儀の時には、たとえば故人が好きだった明るい音楽を流すことは憚れてますが、家族葬なら「この音楽が好きだったよね。」というように、しきたりにとらわれることなく故人を送ることができるので、エンディングノートに書いてあった葬儀に関しての考え方をそのまますることができます。

家族葬は参列者が家族という少ない人数になりますが、故人の遺志を尊重して遺族の間で誰までに知らせるのか。という点を話し合いで決める必要があります。故人と同居していて詳しい交友関係を知っていればいいのですが、どこまでの親戚を呼べばいいのかという点もかなり慎重に話し合いをする必要があります。

家族葬にする時の注意

弔問客に気を遣うことなくゆっくりと故人との別れをすることができて、近親者で見送ることができるというのも選ばれる理由のひとつですが、ここはちょっとした注意が必要なところでもあります。家族葬で見送った後に、故人と親しく付き合いをしていた方から「どうして連絡くれなかったんですか」といったこともあるからです。不義理になってしまうこともあるので、故人の交友関係も含めて家族葬にすることをあらかじめ伝えておくべきかどうか、といった点も含めてキチンと話し合いをする必要があります。

エンディングノートに故人の葬儀についての考えが書かれていれば、後日改めて故人の知人などに連絡するときにも「故人の意思で」と伝えることができますが、葬儀はやり直しができないものという点もあるので、不義理にならないようにしなくてはなりません。

勤務していた職場や、何歳でお亡くなりになるのかでも違ってきますが、家族葬が終わった後に故人を慕って訪問に来られるケースがあります。葬儀の時には「告別式○時より」という知らせになりますが、「お亡くなりになったと聞いて」という形で訪問されてこられるということも念頭に入れておきたほうが良いですね。

家族葬でもお知らせしなくてはいけない人には、連絡するということがとても大事なことです。遺族にとっては知らない方でも、故人との繋がりがあるからです。お知らせしなくてはいけない人には、必ず連絡をしたうえで、家族葬にする旨を事前にお伝えしておく必要があります。特に知らせなくてはいけない人の場合は、不義理になってしまうのでくれぐれも気をつける必要があります。

故人を改めて知る

故人には友人であっても、子供のほうは故人の友人とはあまり面識がないという方が多いと思います。子供にとってもは面識のなくても、故人にとってはとても大事なご友人です。ご友人から子供が知らない故人のエピソードを聞くことができる、最後のチャンスになります。家族が知らなかった故人のエピソードを聞くことで、今まで知ることのなかった一面を知ることになります。このような機会は葬儀に来ていただいて会食の席であればこそです。

故人がどんな友人とつきあっているのか分からない時には、故人の年賀状のやりとりを見て連絡を取りましょう。できれば数年分の年賀状を念のために確認するのが、ベストですが家族のみでの家族葬を行ったときには、挨拶状や通知状を出す必要がありますので年賀状確認は絶対必要になりますね。

故人の希望に沿った葬儀にしたいと願う遺族と、大掛かりにしたくないという遺族も多いのでそのあたりの兼ね合いが大事になりますが、ひとり意見が強くなって引きずられることがないようにすることも大事なことになります。遺族のみんなが納得するような形を取るのが後々のことも考えると非常に大事なことになります。

遺族のひとりひとりが故人と向き合うことのできる、最後の大事な時間です。ごくごく身内で送り出す家族葬にする時にも、誰に声を掛けるかということも含めて話し合いが肝心です。

葬儀のマナー

    最近の葬儀の主流「家族葬」と葬儀を考える